アメリカのアニメに出てくる「旅行のスライド」って何?【海外アニメ雑記】



アメリカのアニメなどを見ていると、旅行の記念写真のスライドショーのようなものを見るシーンが時々あります。
日本で生活していてそのような経験をしたことがないので、おそらく他国の文化なのだと思います。
気になったので簡単に調べてみました。

■「旅行のスライド」の例

まず本記事見出しの画像は、スポンジ・ボブのエピソード159「スポンジ・ボブの家族旅行」の1シーンです。

スポンジ・ボブの家族旅行

このエピソードでは、冒頭にスポンジ・ボブが仲間たちに自身の旅行の写真のスライドを見せる場面から始まります。
特徴的なのは、珍しくスポンジ・ボブが嘘の会合の誘いをかけて仲間たちを招集していることです。これはつまり、旅行のスライドを見るという行為にマイナスイメージがあるということなのだと思います。私も、他人の旅行の写真なんぞを見るために時間を割くことは避けたいと思うので、それと同じ感覚なのでしょう。

同様のシーンは、エピソード161のBパート「カーニさんのバケーション」でも見られます。

カーニさんのバケーション

ここでも、カーニさんが「これから旅行のスライドを見るぞ」と打ち明けると、直前までノリノリだったパトリックとサンディが訝しむ様子が見られます。

他にも、東京ディズニーランドのカントリーベア・シアターの夏季公演「バケーション・ジャンボリー」では熊のウェンデルが観客に対して旅行のスライドを見せてくれます。この時「まさかまた旅行のスライドを見せる気かい?」「また例の写真?」と嫌そうに言われているので、これもやはり仲間内にウンザリされている様子がわかります。


■このプロジェクターは何?

まず、写真のスライドを投影しているこの機器について調べました。

プロジェクター

この2つは形状や色味がやや異なりますが、いずれも上に円筒状のパーツがあるプロジェクターのようです。

どうやらこれは「スライド映写機(Slide projector)」と呼ばれるものです。特に、スポンジ・ボブに登場したような回転式のものは「Carousel slide projector」と呼ばれます。Carousel=メリーゴーランド です。上部の円筒型の部分にカード型のスライド写真を丸く並ぶように入れて、そのスライドを回転させて順番に投影することができます。
下に紹介する動画を見ていただければよくわかると思います。


英語版 Wikipedia の記事の見出しの画像が、まさにカーニさんが使用している映写機と同型のもののようです。


■写真のスライドショーは、アメリカの大衆文化だった

それにしても、なぜスポンジ・ボブもカーニさんもスライド映写機を所持しているのか? その答えは Wikipedia の中にありました。


35 mm slide projectors, direct descendants of the larger-format magic lantern, first came into widespread use during the 1950s as a form of occasional home entertainment; family members and friends would gather to view slide shows. Reversal film was much in use, and supplied slides snapped during vacations and at family events. Slide projectors were also widely used in educational and other institutional settings.
(以下 Google翻訳結果)
大判幻灯機の直系の子孫である35mmスライドプロジェクターは、1950年代に、時折のホームエンターテインメントの形として最初に広く使用されました。 家族や友人が集まってスライドショーを見ました。 リバーサルフィルムは多く使用されており、休暇中や家族のイベントでスナップされたスライドが提供されていました。 スライド映写機は、教育やその他の機関の設定でも広く使用されていました。

そう、どうやらスライド映写機というのは、かつてアメリカでは一般家庭に普及していたもののようです。家庭での娯楽の1つとして、旅行や家族イベントなどのスライドショーを家で見ていたのでしょうね。今でいうホームビデオ鑑賞のようなものかもしれません。(ホームビデオという言葉すらも既に古いか?)
なお、家族旅行の写真を無理やり見せる&見るのを嫌がる行為が一般的だったのかどうかはよくわかりませんでした。これは定番のジョークなのかもしれません。

ちなみに、このスライド映写機には 35mmスライド写真を使用するものが一般的みたいです。今でも 35mmスライドを作成するサービスを提供している印刷会社があるようです。しかし今では写真はほとんどデジタルデータであり、パソコンとデジタルプロジェクターさえあれば大抵の映写はできるので、需要は限られていそうな気がしますね。